ジャーナリズムXアワード

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2022.12.28

SNSを使った違法な性的コンテンツ拡散を追う――「誰が私を拡散したのか」Tansaによるキャンペーン報道

第1回ジャーナリズムXアワードでX賞(大賞)を受賞したNPO法人Tansaでは、知らない間に性的な画像や動画がネット上で売買されている問題を追及しています。「誰が私を拡散したのか」と題する現在進行中のキャンペーン報道を紹介します。

 

盗撮、ハッキング、リベンジポルノ、どこかのウェブサイトからの転載……。様々な違法手段で取得された個人の性的な画像や動画が、無断でネット上で売り買いされています。

 

ひとたびネット上にアップされると、削除依頼を出して削除されたとしても、ダウンロードした別の人たちによって再度アップされる。それをまた削除依頼し、といういたちごっこが延々と続きます。

 

被害者は知人に自分の性的な画像や動画が見られてしまうのではないかという深刻な恐怖を抱き、外を出歩けなくなったり、自殺未遂を図る人も。さらに、アップされた画像等からSNSアカウントや自宅をつきとめられ、いやがらせを受けたり、付きまといをされる被害も生まれています。

 

このような被害は、主に写真や動画を共有できるスマホアプリを通じて生まれています。GoogleやAppleのアプリストアでもダウンロードすることができ(Googleは一部アプリのスマホ版を取り下げ)、少なくとも10万回以上ダウンロードされているアプリも。一度売買の対象になれば、ものすごい勢いで拡散されてしまうのです。

 

Tansaでは、アプリを介して違法に性的な画像や動画を売買する仕組みを調査。SNS上で販売を持ちかけるアカウントを丹念に調べ上げ、記事中で公開しています。さらに、GoogleとAppleへ質問状を出しています。Googleは記者からの質問に「返答を待ってほしい」と回答したその日、アプリストアから一部のアプリを取り下げました(その後、記者へは連絡なし)。Appleからは何の回答も、動きもありません。

 

Tansaの報道を受け、画像・動画の販売者たちはTwitter上で対応策を練る「作戦会議」を開きました。Tansaはその会議にも潜入取材し、「社会問題になって警察も動かざるを得なくなったら最悪」などとする生々しい音声をYouTubeで公開しています。

 

引用は以上です。このキャンペーン報道は、警察、企業、社会がまだ鈍い反応しか起こせていない現状に、一石を投じるものです。しかし、具体的な変化を起こしていくためには、まだまだ深い調査報道が必要です。そのためにはより広い支援が欠かせません。Tansaではこの報道に関するクラウドファンディングを呼びかけています。関心のある方は以下のリンクよりぜひご支援ください。

 

▼関連リンク
・連載「誰が私を拡散したのか」(NPO法人Tansa)
https://tansajp.org/investigativejournal_category/kakusan/
・クラウドファンディング
https://syncable.biz/campaign/3920#campaign-tabs
・担当記者のTwitter
https://twitter.com/marikotsuji15

 

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